札幌市内福祉施設職員国内派遣研修報告〔平成21年度〕

先進的な実践に多くを学んだ 国内派遣研修

  本会では、札幌市内の民間社会福祉施設に勤務する中堅職員の資質向上を目的とした国内での研修について、共同募金会配分金等を活用し、費用の一部を助成しています。
 平成21年度は、8名の社会福祉施設職員の皆さんが、先進的活動の視察・見学や研修会に参加しました。その研修報告をご紹介します。

            ☆障がい福祉サービス事業所 えるむ   主任 宍戸 勝さん
           ☆もみじ台北保育園 保育係長 片桐 初美さん
           
☆中の島保育所 主任保育士 松崎 美恵子さん
           
☆伏見寮(母子生活支援施設) 母子指導員 小林 舞子さん
           
☆札幌市あけぼの荘(救護施設) 生活指導員 梶原 恵史さん
           
☆特別養護老人ホーム西野ケアセンター 介護リーダー 後藤 和代さん
           
☆手稲リハビリテーションセンター 介護リーダー 古屋 芽生さん
           
☆羊ケ丘養護園(児童養護施設) 児童指導員 森井 美穂子さん

「あたりまえの地域生活」をめざす支援のあり方

    障害福祉サービス事業所えるむ 主任 宍戸 勝

 私は10月27日~29日の3日間、広島県因島を訪問し、社会福祉法人若葉が運営する各種の施設を見学させていただきました。今回は、地域生活総合支援センター「はばたき」を中心に、高齢の障害者とその家族の支援のあり方について多くの学習をすることができました。
 障がい者のいる家庭において高齢化と介護の問題は深刻で、当法人においても高齢化対策をいかに整備していくかが大きな課題となっており、若葉での取り組まれている内容とその理念について深い感銘を受けました。
「はばたき」は、5階建てで、障がい者・高齢者それぞれの事業所を小規模多機能に集約し24時間ケア体制を可能とするための拠点であり、既存の制度にとらわれず高齢者・障がい者の種別を超越したサービス提供を行っておりました。
 特徴的なのが、4階・5階にある高齢者の障がい者とその方を介護する高齢の家族が利用できるファミリーマンションです。実際に、それぞれ諸事情によりこのマンションを利用している高齢障がい者と、介護を行う超高齢の親が入居する家庭の様子を、拝見してきました。福祉サービスを取り入れることで、家族の絆を失うことなく、安心して生活できるように配慮されていました。しかしそのマンションでの生活は終の棲家ではなく、家族支援のサポート体制が確立されれば、再び住み慣れた居住地へと生活の場を戻していく取り組みがなされています。
 基本は、自分たちが住み慣れた居住地でのあたりまえの地域生活であり、そのために何が必要なのか、どのようなサービス体制を必要としているかと言う「利用される方の立場に立った福祉サービスの構築」を基本姿勢にされていました。
 因島と札幌では様々な環境要素の違いがあり同様の取組がそのまま通用するとは思いませんが、「あたりまえの地域生活」と言うキーワードは何処においても共通の課題です。私は「はばたき」というハード面について見学したく、この度の研修事業を利用させて頂きましたが実際は、それ以上にソフト面の整備が充実しており、「誰もがあたりまえに地域生活を営む」と言う基本理念のもとに、新たなサービスとして創出する活動が心に強く残りました。
 今回は、このような機会をいただき、今後の高齢対策の参考になりました。ありがとうございました。

 

改めて学ぶ保育士の専門性

   もみじ台北保育園 保育係長 片桐 初美

 私は、このたび「北海道・東北地区保育所主任保育主任(初任者指導保育士)研修会」に参加しました。
 講議は6つあり、「保育所保育指針における主任保育士」「乳幼児の発達に基づく保育実践」「保育計画の作成と自己評価」「保育所における安全管理」「保育所における保護者支援」「保育所における現任指導」でした。
 今年度、保育所保育指針が改定となり、大臣告示となりました。現場保育士を指導する立場にある主任保育士としての役割・考え方・現場との取り組み方を学ぶ研修でした。
 保育士の専門性を生かした保護者支援のあり方について考える事ができました。
 保育園ではできるのに家庭ではできない・できるようにならない・どうして・・・と思う保育士がいます。保育園には子どもが生活しやすいように環境が整えられているので、できるのがあたりまえ。家庭は子どもの成長のためにすべてが整えられているわけではない。そこで専門性が大切となる。家庭での環境を踏まえ、一緒に考えアイディアを出しあい保護者のできるところを見つけフォローしていかなければなりません。一緒に考える姿勢が大切です。知らなければすることもできない、また聞くこともできません。家庭生活の浅い保護者については、家庭・仕事・子育てと新しい環境にとまどいながら必死に子育てしています。保育士は、「おばあちゃんの智恵袋役」になってくださいという講師の先生がいました。保護者に対してもそうですが、保育士に対しても主任保育士として智恵袋役を発揮していきたいと思います。そのためにも、更に今後もその智恵袋の中身をふくらませ保育の現場と保護者に対して発信していきたいと思います。保育士の専門性に自信を持ち子ども・保護者と向きあっていきたいと思います。
 充実した研修会に参加することができました。

 

保育の質 改めて見直すきっかけに

    中の島保育所 保育士 松崎 美恵子

 平成22年2月3日から5日にかけて神戸市で開催されました第35回保育総合研修会・テーマ「今、改めて保育という文化・環境を見つめ直す」に参加させていただきました。
 1日目はまず最初に基調報告、次に情勢報告があり、昨年夏の政権交代に伴う仕分け作業において、保育予算・最低基準の問題、更には運営費の財源の問題等を今後も注意深く見守っていく必要があるとのことでした。続いて行われた「スライドショー&トーク」では、八ヶ岳にあるキープ森のようちえんプロジェクトによる「子どものうた 森のかぜ」のスライドが上映され、自然の中での色々な営みの様子や、そこに育ってくる心が一枚一枚のスライドを通して伝わってきました。それを見ることで私が日常の中でともすれば見逃してきていた事を痛感し、なかでも「子どもから学ぼう」の視点、「子どもを教え導こう」の視点、この大人のまなざしの視点の質が「保育の質となる」との言葉は、私自身の保育の見直しとなる大切な言葉となりました。
  また、「今ここにある事を受け入れそのままでいいですよ」のあるがままの根拠が、人間の子宮環境そのものだとの話にも感銘を受けました。翌日の分科会での「記述する、語り合う保育の場でのエピソード記述入門」では、自園でも取り組んでいる内容だけに、子どもの理解の共有そして保育士間でお互いを理解しあえていく為にも、自園において具体的に保育の場でのエピソード記述を生かしていく方向性がはっきりと見えてきました。
   今回の研修に参加して「子どものあるがままをとらえていく」の言葉の重みと、その意義深さを改めて思い返し、保育士という主体と子どもという主体の間に生まれる新たな思いを喜んでいける保育・新たな思いが沢山生まれる保育を目指したいと思いました。最後にこの様な貴重な研修を受けさせていただく機会を与えられた事に大変感謝しております。ありがとうございました。

  

職員の姿勢を見習いたい

      母子生活支援施設 札幌福祉事業会 伏見寮  母子指導員 小林 舞子

 私はこのたび、平成21年11月16日から8日の3日間秋田県大館市にある母子生活支援施設「白百合ホーム」で研修させていただきました。
 研修では、施設の理念、基本方針、勤務体制についてや各職種別の指導員さんからの具体的な仕事内容を、忙しい中お話を聞かせていただきました。
 私は白百合ホームで、一時保育やトワイライトステイ事業の内容を1番に学びたかったのですが、トワイライトステイ(夜間保育)については、当日は新型インフルエンザ発症のため預かりの子どもがいなく、話を聞くだけだったのが残念でした。
 施設内でも、インフルエンザが流行中とのことで、職員会議では共同風呂の使用方法についての話し合いがされていました。宿直も職員で行っているので、職員全員揃うときが職員会議の日のみということで、納得のいくまで話し合いをしていました。
 パソコンや電話などで、情報が確かなものかどうかの確認も一緒に行い、間違った情報に振り回されないよう冷静に対処していました。緊急事態にあわてずに対応する職員の姿勢は私も見習いたいと思います。   

 

参考になった新人職員を育てる取り組み

   特別養護老人ホーム 西野ケアセンター  介護リーダー 後藤 和代

 私はこの度、国内派遣研修に参加させて頂き、東京都多摩市特別養護老人ホーム愛生苑、静岡県下田市特別養護老人ホーム梓の里、みくらの里で施設見学をさせて頂きました。
 愛生苑では、当施設の法人研修テーマである「接遇」について、実際にマニュアルを見せて頂き、又、日々の職員指導がどのように行われているのかお話を聞かせて頂きました。
 愛生苑では・職員としての基本姿勢・職員心得・接遇マニュアル・介助マナー・NGワード・新人教育についてのマニュアルがあります。新人教育については、プリセプターシップ(1人の新人に1人の先輩指導者が付く)を導入しており、新人職員の日誌に誰でもコメントを書き指導すること、又、プリセプターやサポート職員の情報共有を図り、プリセプター、新人職員が孤立しないよう取り組まれておりました。施設全体で新人職員を育てるという意識が大事だと教えて頂きました。接遇マニュアルや新人職員の指導において、当施設でも取り入れていける内容であり、大変参考になりました。
 みくらの里では、外国人労働者の受入れと現状について話を聞く事ができました。平成21年11月経済連携協定(EPA)に基づきフィリピン人1名採用し、介護福祉士国家試験までのプログラム内容を見せて頂きました。見学時は、日常的な会話はでき、コミュニケーションに問題はないが、難しいのは日本語を読み意味を理解することで、今後は試験準備のサポートが課題との事で、私生活についても、さまざまなサポートが必要となり、何かあればすぐにかけつけられる体制を整えておく必要があるとのことでした。
 この度、派遣先である施設の職員の皆様には、お忙しい中、見学や貴重なお話を聞かせて頂き大変勉強になりました。このような機会を与えて頂き、感謝申しあげます。

 

外国人労働者受け入れ施設の取り組み

   手稲リハビリテーションセンター  介護リーダー 古屋  芽生 

 私は、このたび中堅職員国内派遣研修に参加させて頂き、静岡県下田市にある、社会福祉法人 梓友会 みくらの里にて外国人労働者の受け入れについて学ばさせて頂ました。少子高齢化が進む日本が将来の新たな労働力として期待する経済連携協定に基づく受け入れで、介護福祉士候補生には4年間の特定ビザが与えられ、この期間内に資格取得を目指し、合格できないと帰国を余儀なくされるという制度です。
 半年間の日本語研修で日本語検定3級、小学校低学年程度の会話力という候補生は、みくらの里で働きながら日本語を学び、同時に資格取得の勉強を行います。
 受け入れにあたり、みくらの里では利用者・職員に説明を行い理解を頂いた上での事なので問題等はなく、私が見学をさせて頂いた時も利用者・職員の中に自然に溶け込まれていました。
 受け入れ後の進め方として、4年間の介護研修プログラムがあり、それに沿った1ヶ月ごとの教育プログラムがありました。内容は、筆記試験・実技試験・日本語・職場への適応促進・日本の生活習慣などの習得にむけての計画が記載されていました。スタッフは座学担当と現場実習担当の方がおり、体制や役割が整っていました。
 候補生には、たくさんの事を1度に覚えてもらおうとするのではなく、1つずつ確実に覚えてもらう事を意識されており、出来る事を徐々に増やしていき、候補生の負担にならないように配慮がされていました。
 今後の課題としては資格習得に向けて、漢字が読めるようになる事・意味が理解できるように日本語の指導に力を入れていかなければならないと、お話をされていました。
 日本人の新人教育を行うのも難しい中、外国の方の教育は、もっと大変だと思っていましたが、やはり体制や役割が、しっかり整っている事と施設職員のチームワークの良さがあるからこそ、行えているのだと思います。
 今回、このような機会を与えて頂き、ありがとうございました。

  

救護施設の「個別支援計画」の作成と実践

    あけぼの荘  生活指導員 梶原 恵史

   私はこの度、東京都内の救護施設、「光の家神愛園」「村山荘」「あかつき」の三施設にご協力頂き、個別支援計画の取り組みにおいて、以下の三点を中心にご指導を頂きました。
 ①カンファレンスを行う際、カンファレンスをスムーズに進行させる為にケース担当者やバイザーがそれぞ れどのような事に注意し、工夫しながらカンファレンスを進めているのか。
 ②全利用者の個別支援計画の作成、計画の実施について、どのように業務の中に落としていったのか。
 ③個別支援計画の実施による日課の変化について。

 個別支援計画の作成は、「希望要望」「アセスメント」「ニーズ整理」等、聞き取りと記入だけでも膨大な作業になります。また、全利用者のカンファレンスを行う事もとても時間がかかる作業です。そのような個別支援計画に取り組むため、それぞれの施設が業務の無駄を省き、時間を短縮する為の様々な工夫をされていました。
 引継ぎノート、日誌、ケース記録等の記録物については、パソコンでデータ化することにより、「同じ内容を何度も書く」という手間を省き、業務時間の短縮につながっている事。
 カンファレンスの進め方についても、「ニーズ整理表」、「支援計画」のシートのみを持ち寄り、「アセスメントシート」はカンファレンスの前に確認しておくという方法を取った事で、カンファレンス中に「アセスメントシート」を読み返す時間を省き、カンファレンスの時間短縮につながった事等、大変参考になるお話を聞かせて頂きました。
 それぞれの施設の日課についても、個別支援計画の実施による大きな変化というものはないとの事でしたが、当施設の日課との違いとして、一般入浴を夕方に行っており、昼間に一般入浴を行っている当施設と比べ、昼間の活動に利用できる時間が多いという点がありました。この時間を個別支援の為の時間として利用出来ているという事もとても参考となるものでした。
 また、レクリエーションについても、施設全体の行事というものは少しずつ少なくなってきており、それぞれの利用者が希望する個別のレクリエーションを増やしていっているとの事でした。
 今回、「光の家神愛園」「村山荘」「あかつき」の三施設のご協力により、実践の中から経験した考え方やアイディアをご指導頂き、大変多くのことを学ばせて頂きました。今後、この貴重な経験を活かし、当施設での個別支援計画の取り組みに力を注いでいきたいと思います。
 この度、このような貴重な機会を与えて頂きまして深く感謝申し上げます。
 

心にゆとり生まれるユニットケア、個室ケア  

    児童養護施設 羊ヶ丘養護園  児童指導員 森井美穂子

 「ユニットケアやケアの小規模化などについて、先進的な取り組みをしている児童養護施設を訪ね、児童養護施設ケアの小規模化について学ぶ」というテーマで、このたび、仙台市にあります社会福祉法人 ロザリオの聖母会 児童養護施設 仙台天使園での研修に参加させていただきました。
 当園は、平成18年3月に全面改築移転し、大舎制から、ユニットケアへとケアのスタイルを変え、現在80名の児童が生活をしています。
 移転に伴い、ユニットケア・個室ケア等のメリットとして、児童は、個室の寝室勉強部屋が確保され、自分の部屋が持てるという喜びは、とても大きかったようです。
 職員にとっては、ユニットケアでの生活になるので、より家庭的で、密接に関われることができ、ゆったりと生活することができるようになったとの事。リビングには、ダイニングテーブルがあり、対面キッチンが完備され、家庭的な温かい雰囲気を感じ、子どもの居室を見ても、各自の自分だけのスペースがあり、最も大事な自分の居場所というものが確保され、護られているという事を感じました。
 今や、児童ケアの部分では、ソフトの部分の重要性は勿論の事、こうしたハードの部分を整え、自分と向かい合う時間とスペースがあることで、それだけでも癒される面が大きいような気がしました。また、ユニットケアになり、ケアの小規模化から職員が抱えるストレスについては、以前と大きな変化は見られないとの事で、当園に関しては、あくまでも大舎の中のユニットであり、児童の生活部分はユニットではあるが、施設としての行事や、職員の打ち合わせ等は、大舎の時と変わらず、問題発生時に関しても、他の職員のサポートも得られやすいとの事でした。
 大舎のメリットと、小規模化であるユニットケアのメリットがあり、生活する子ども達にも、働く職員にとっても快適な場である事を感じました。しかし、大舎にせよ、ユニットケア等の小規模化にせよ、ケアをする職員の不足を感じ得ない状況は、現場の職員として共感する点でありました。
 今回の研修で、初めてユニットケアについて学ぶことが出来、今後の児童ケアに活かしていきたいと思います。このような研修機会を与えて頂き、ありがとうございました。
                                        
 

ページの先頭へ