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学生レポーター通信【齋藤 朱音のレポート】

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障がい者スポーツについて考える

2019年12月4日

レポーター:齋藤 朱音

障がい者スポーツについて考える

みなさんこんにちは。
久々の更新になってしまい、申し訳ありません…
あっという間に冬になってしまいましたね。体調には十分お気を付けください。

今回のテーマは障がい者スポーツ。2020年のオリンピック・パラリンピックが迫っていることもあって、最近よく耳にしたり目にしたりします。
しかし、実際パラリンピックとはどういう大会なのでしょうか。
オリンピックはテレビで観るけれどパラリンピックはあまり…という方もいらっしゃると思います(恥ずかしながら私がそうです)。
そこで、前回同様、社会福祉総合センター内にある資料室の図書を借りて、パラリンピックや障がい者スポーツについて学んでみたいと思います。

今回はこの2冊の図書を使いました。
・藤田紀昭 著『パラリンピックの楽しみ方 ルールから知られざる歴史まで』(小学館、2016)
・星野恭子 著『伴走者たち 障害のあるランナーをささえる』(大日本図書株式会社、ドキュメント・ユニバーサルデザイン、2008)

 さて、まず「パラリンピック」という言葉ですが、どうやら2つの意味を持っているようです。
はじめて「パラリンピック」の名前が使われたのは1968年の東京パラリンピックから。
両下半身麻痺を意味する「パラプレジア」と「オリンピック」を合わせて作られました。
現在は、「平行する」を意味する「パラレル」と合わせて、「もう一つのオリンピック」という意味で捉えられています。
 その起源はイギリス・ロンドンにある「ストーク・マンデビル病院」で行われた競技会にあります。
この病院の院長であったルードヴィッヒ・グットマン博士が、第2次世界大戦で脊髄を負傷した兵士のリハビリにスポーツを取り入れたのです。
博士はこの効果を高めるために、1948年、院内で1回目となる競技会を開きました。
これ以降の大会では、参加者はイギリスに限らず世界中から集まるようになり、オリンピックに合わせた時期、国で行われるようになりました。
パラリンピックの誕生です。
 パラリンピックで行われる競技には大きく分けて2タイプあります。
1つ目は、オリンピックでも行われているようなスポーツを、パラリンピック用にアレンジしたもの。義足を付けて行うマラソンや座った状態で滑降するアルペンスキーなどです。
2つ目は障がい者スポーツとして考案されたもので、ボッチャ、ゴールボールなどがあります。
これらのスポーツは障がいの度合いや用いる補助器具によってクラス分けされています。
藤田さんの『パラリンピックの楽しみ方』には、詳しい競技の説明と、過去の日本チームの成績が紹介されているので、パラリンピックを観る前に読んでみると楽しめると思いますよ!
このようなパラリンピックですが、考えなければならない問題もあります。
藤田さんは、2020年のオリンピック・パラリンピック閉幕後に起こる「2021年問題」に警鐘を鳴らし、国が障がい者スポーツにかける予算が減少することで、障がい者スポーツの停滞を招く恐れがあると述べています。
実際、ロンドンオリンピック・パラリンピック終了後のイギリスではスポーツ人口が減ったという報告があるそうです。
 また、私はネットニュースで「パラアスリートが『超人化』することで、アスリートでない障害者との心理的格差が発生してしまう」という記事を見ました。
障がい者スポーツの祭典であったパラリンピックが、障害者から離れてしまうという事態が起ころうとしているというのです。
 この2つの問題に共通しているのは、パラリンピックのように特別な場合でなく、日常生活の中で障害者スポーツを考えることが出来ていないということだと思います。
普段の生活の中に障害者スポーツが溶け込み、それを支えるシステムが作られれば良いと感じました。

 また、私は障がい者スポーツの中で、伴走者に興味を持ちました。
伴走者とは、視覚障がいのあるランナーと一緒に走ることでランナーをサポートする人のことです。
「きずな」と呼ばれる伴走ロープをお互いが握って走り、伴走者がコースの様子を伝えながらゴールを目指します。
『伴走者たち 障がいのあるランナーを支える』の著者の星野さんは、実際に伴走者をされている方で、同書の中ではどの様に走ればランナーも伴走者も気持ちよく走れるのか、フォームやロープの使い方、声かけ等について詳しく書かれています。
そしてこのような伴走者は市民ランナーが中心です。札幌でも伴走練習会が開かれているようなので、興味のある方は参加されてはいかがでしょうか?
 また、星野さんは、他にもランナーをサポートする存在として、義肢装具士を紹介しています。
義肢装具士は義肢(義手・義足)を必要とする人に、その人専用の義肢を制作する職業で、そのケアも行っています。
障がい者スポーツにはアスリートを物理的にそばで支える人だけではなく、道具で支える人もいるのだということが分かりました。
道具に注目してパラリンピックを観てみるのも楽しいかも知れません!




★写真は先日吹雪いていた夜のものです。
雪だるまになるかと思いました…
ついつい俯いて歩いてしまいがちですが、気を付けないとなぁ…

市社協の担当さんからのコメント

先日社会福祉総合センターで行われた「福祉用具機器展inさっぽろ2019」のなかで、
パラ駅伝北海道代表チームの皆さんからお話を聞いたり、
障がい者スポーツ「ボッチャ」を体験する機会がありました。

参加者からは「普段知る機会のないお話を聞けてよかった」と好評の声をいただきましたが、
やはり認知度の面ではまだまだなのだと思います。 

オリンピックやパラリンピックは、それぞれが抱える背景に関わらず、
互いに多様性を認め合い、スポーツを通じて平和な社会の実現を目指すものです。
これは、社協が目指す「互いに支え合うやさしいまちづくり」にも通じるところがあるような気がします。

オリンピック・パラリンピックに向けて障がい者スポーツが注目を浴びていますが、
来年以降も障がい者スポーツに対する理解が広く広まっていくことを願います。

齋藤 朱音のレポート

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